オオハシサン、助けてくださいよー!
やれやれ。今日はどうしたんだい?
オオハシサン、先週の組織全体会出ました?
そりゃ出てるよ。
あそこで中途で紹介された新しい人いるじゃないですか。
ああ、確かオセロットさん? 随分優秀そうな女性だったね。
アイツ、マジヤバイっすよ。
こらこら。アイツとか言わない。
いや、マジで、ほんとに。
なんか、僕の今やってるプロジェクトあるじゃないですか?
あれを徐々にアジャイル的?なのにしたいとかなんとか、またわけわかんないことをカイマン部長のやつが言ったらしくて。
やつって上司に言わない。
で、ですね。新しいから、
「優しく僕がなんでも教えてあげるねー」って言ったのに、あの高飛車女、うなずいただけだったんですよ。
で、そんときはまだ、寡黙な子なのか?って思ったんですよ。
違ったのかい?
違いましたよ!!
次の日の会議で、いきなりですよ!?
「このプロジェクト、タスクの粒度が大きすぎます」
とか言い出して!
ほう。
しかもですよ!?
「進捗会議が長すぎます」
「意思決定がトップダウンです」
「自己組織化を阻害しています」
とか!
なんか横文字いっぱい使ってくるんですよ!
おやおや。随分ストレートだねぇ。
しかも会議終わったあと、僕が
「いや〜でもウチの会社、そういう文化なんで〜」
ってフォローしたら、真顔で。
なんて?
「文化は、変えるためにあります」
って。
……なるほどね。
絶対怖い人ですよあれ!!
僕もう毎日レビュー会議イヤですもん!!
フム。
だが、言っていること自体は、そこまで間違ってはいないよ。
えぇっ!? オオハシサンまで!?
アジャイルというのは、本来は「変化に適応するため」の考え方だ。
小さく作り、早く試し、改善を繰り返す。
でも、なんか、あの人。
理論で殴ってくる感じなんですよ……。
やれやれ。
君は“人”より先に、“言葉”をぶつけられているんだろうね。
インコさん。先ほどの朝会の件で、ちょっといいですか?
でたーーー!! オオハシさん、助けて〜!!
あなたが噂のオオハシさんですか。お噂はかねがね。
何やら、プロジェクトマネジメントのプロを自負なさっているとか。
いやいや。そんなことは言ったことないですけどね。
オオハシさんのプロジェクトマネジメントの知識、すごいんだぞ!
なんでインコ君が威張るんだよ。
ぜひ勉強させていただきたいです。
でも、オオハシさん、ウォーターフォール専門ですよね?
いや、そんなことないけど。
私、スタンフォードの大学院でスクラム認定資格のトレーニングを受けてきました。
ぜひ、アジャイル・スクラムのことで分からないことがあれば、聞いていただきたく。
それはすごいですね。。。。
で、でた〜!
また始まったよ、横文字マウント!!
マウントではありません。
対話をしましょう。アジャイルでは対話を重視します。
いや今、対話って言いながら僕の話全然聞いてなかったですよね!?
おやおや。
あと、先ほどの朝会。
インコさんの進捗報告、少し長かったです。
えぇっ!?
だってちゃんと説明しないと怒られるじゃないですか!
計画が全てではありません。
朝会は、簡潔に共有し、素早く動くための場です。
でもウチ、朝会のあとに部長説明用の資料作るんですよ?
……それ、少しウォーターフォールっぽいですね。
なんなんだよその「っぽい」って!!
悪口だろそれ!!
フム。
だがオセロットさん。
日本の大規模案件では、説明責任も重要なんだ。
全部を理想通りには変えられない。
それは理解しています。
ですが、“今まで通り”を続けるだけでは、組織は変わりません。
やれやれ。
君は真面目だねぇ。
……はい?
理論をちゃんと学んできた人ほど、現実とのズレに苦しむものなんだよ。
それは新参者に対する警告ですか??
いやいや、一般論を言っただけだよ



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