ステークホルダーは誰?

インコ君

困ったな。困ったな。困ったな。困ったな

オオハシ

やれやれ、君ってやつは。
どうしたんだい?

インコ君

聞いてくださいよ、オオハシさん!
先日の事故の報告資料をインシデント報告会に持って行ったんですよ。
そしたら、やり直しをくらっちゃって…!

オオハシ

やれやれ。理由は何だったんだい?

インコ君

どこから話せばいいか分からないんですけど…

オオハシ

大方、関係者への説明や、事前に必要な情報入力が不足していたんだろ?

インコ君

すごい!なんで分かるんですか!?

オオハシ

さらに、現場のカスタマーセンターのお姉様方からも、
めっちゃ嫌味を言われる始末だったんじゃないかい?

インコ君

なんでわかるんですかーー!?エスパーですか!?

オオハシ

エスパーじゃなくても分かるさ。
大抵の人は、初めてのインシデント報告会でそうなるんだよ。

インコ君

ええ〜、そうなんですかー?
じゃあ僕、悪くないじゃないですかーーー!

オオハシ

……。

インコ君

……ちょっとは悪いところ、ありましたかね?

オオハシ

誰が悪いかという話や、業務の根本的な改善という大きなテーマも確かに重要だが、
今回はひとまず置いておこう。

インコ君

悪いやつは見つけて徹底的にぶちのめしてやりたいですけどね

オオハシ

気持ちはわかるが。。。
それよりも、君が今後こういう困難をどう乗り越えるか。
そこが一番大事だと思うよ。

インコ君

確かに。。そうかも
そうですね、そうです!
僕が困難を乗り越えられるのが大事です!それ以外は大事じゃない!

オオハシ

……。

インコ君

……それ以外も大事かもしれませんが、今は大事じゃないです。

オオハシ

まあ、いいさ。今日もPMBOKのツールで解決策を考えてみよう。

インコ君

出たーー!好きですねー、オオハシさん。

オオハシ

……。

インコ君

続けてください……。

インコ君

いいえ。全く。そんな話しました?僕に?オオハシさんが?全然

オオハシ

だろうね。

インコ君

まあ、気にせず。続きをどうぞ!

オオハシ

まずは基本から確認しよう。君は“ステークホルダー”って言葉を正しく覚えているかい?

インコ君

よく分かりません!

オオハシ

“ステークホルダー”とは、プロジェクトに影響を与えたり、影響を受けたりする可能性のある人や組織のことを言うんだ。

インコ君

うわっ、難しそう…。具体的には誰なんですか?

オオハシ

今回の事故報告の件で言えば、
報告会の出席者、
現場のカスタマーセンターの担当者たち、
もちろん君自身も含めて、全員が“ステークホルダー”なんだ。
さらに言えば、サービス利用のお客様や人事や法務の方、
インフラの方は広報の方など、
見えないところで多くの人が関わっている可能性がある。
まるで、水面に落とした石の波紋がどこまでも続きわからなくなるくらい
関係者は広いんだ。それが全てステークホルダーなんだよ

インコ君

なるほどー。そういう人たちをちゃんと見えてなかったのかも…

オオハシ

そうだ。だからこそ、まず“ステークホルダーを可視化する”ことが必要なんだよ。

インコ君

でも、どうやって“可視化”なんてするんですか?

オオハシ

そのために“ステークホルダー分析マトリクス”というツールがある。聞いたことは?

インコ君

当然ありません!

オオハシ

これは、ステークホルダーを“権力(Power)”と“関心度(Interest)”の2軸でマッピングして、適切な対応を考えるためのマトリクスだ。

インコ君

それも難しそう…。もっと分かりやすく教えてください!

オオハシ

試しに書いてみよう

ステークホルダー分析マトリクス
権力
(Power)
関心度(Interest)
低い 高い
高い

セキュリティ本部長 (権力:9, 関心度:3)

プロダクト本部長 (権力:9, 関心度:2)

コンプライアンス部門長 (権力:7, 関心度:3)

インフラ部門部長 (権力:7, 関心度:4)

カスタマーセンターの責任者 (権力:8, 関心度:8)

メガネカイマン部長 (権力:7, 関心度:5)

低い

人事部門 (権力:3, 関心度:2)

法務部門 (権力:3, 関心度:2)

セキュリティ部門部長 (権力:4, 関心度:6)

インシデント管理責任者 (権力:4, 関心度:5)

セキュリティ部門関係者 (権力:4, 関心度:5)

インフラの方(広報) (権力:5, 関心度:5)

君自身(インコ君) (権力:4, 関心度:5)

サービス利用のお客様 (権力:2, 関心度:6)

現場CS担当者達 (権力:3, 関心度:9)

オオハシ

たとえば、カスタマーセンターの責任者は“権力も関心度も高い”ステークホルダーだ。だから報告前に丁寧な説明をしておくべきだった。

インコ君

そうだったのか。。

オオハシ

後は現場のカスターマーセンターの担当者達やサービス利用のお客様
社内での形式的な権力はないかもだけど、
実際にサービスを使ってくれたり
対応してくれたりする現場の人が
もっとも大事なステークホルダーだ

インコ君

メガネカイマン部長のことしか考えてなかった。。。

オオハシ

そうだろ。
でも本当に大事なのは
お客様とそのお客様に向き合う現場の人が関心が高いんだ
だから、真っ先にそして一番丁寧に説明をしなければいけないステークホルダーなんだ

インコ君

反省です。。
でそうすればいいんですか?

オオハシ

そこで“ステークホルダー・エンゲージメント・マネジメント”という考え方がある。

インコ君

教えてください!

オオハシ

これは、ステークホルダーと良好な関係を築いて、プロジェクトにうまく巻き込んでいくマネジメントのことだ。

インコ君

うまく巻き込む、ですか?たとえば?

オオハシ

まず先ほどのマトリクス事の対応方法の図はこうだ

オオハシ

先ほどの話だとカスタマーセンターの責任者はどこに該当していた?

インコ君

えーと、権力も、関心も高いので。。。
あ、「綿密に対応」ですかね?

オオハシ

そうだ。
だから、今回のような報告があると分かった時点で、
カスタマーセンター責任者に事前対面で共有して、意見を聞くようにすればよかった。
それで“あ、この子はちゃんとやってるな”って印象になる。

インコ君

なるほど

オオハシ

さらに、カスタマーセンター責任者は、自部門の部下のカスタマーセンターの現場にも情報を提供したり、
うまくいくとヒアリングの場も設定してくれる。
そうなったらどうなる?

インコ君

カスターマーセンターのお姉様方への「情報の提供」が出来る!

オオハシ

そうだ。組織は権力バランスでできている。
また関心がある人ほど反対意見や賛成意見をくれる。
その順番やバランスを考えながら
エンゲージメントをマネジメントして行くんだ

インコ君

なるほど…先に味方にしとけば、怒られずに済むんですね。

オオハシ

さて、最後に紹介したいのが“ステークホルダー・エンゲージメント・コントロール”だ。

インコ君

コントロール…ですか?なんか怖そうな名前ですね。

オオハシ

ふふ、怖がることはないよ。これはね、“ステークホルダーの関与が、計画通りに進んでいるかどうか”をモニタリングし、必要に応じて対応を調整することなんだ。

インコ君

関与って…たとえば、さっきのマトリクスで“重要な人”として扱ってた人が、急に反対してきたりするのも見張っておくってことですか?

オオハシ

その通り。そして、もし関与レベルに変化があったら、関係性を修復したり、情報提供の方法を変えたり、働きかけ方を見直したりする必要がある。

インコ君

む、難しそうだけど…実際にはどんな風にやるんですか?

オオハシ

今回のケースで言うと例えば、
報告会に出席しているセキュリティ本部長さんはあまり関心がなさそうだが、
今回のインシデントがセキュリティインシデントの可能性が判明すると
一気に関心度が上がる!

インコ君

ヒイイ!

オオハシ

関与レベルの変化というのは状況に応じて刻々と変わるんだ

インコ君

ああ…そういうのあったかも…

オオハシ

それはまさに“エンゲージメント・コントロール”の出番だな。フォローアップのメールを入れたり、“今後の報告内容でご意見ありませんか?”と声をかけるだけでも、状況は変わるかもしれないよ。

インコ君

なるほど…ステークホルダーって、単に“関係者”ってだけじゃなくて、生き物みたいに“変化する存在”なんですね。

オオハシ

いい観察眼だ。そのとおり。だから、最初に可視化して終わり、ではなくて、継続的に観察し、関係性を調整し続ける。それがプロジェクトマネジメントの大切なポイントなんだよ。

インコ君

いや〜〜〜今日も勉強になりました!それにしてもPMBOKって、マトリクスとかマネジメントとか、カタカナばっかりですね!

オオハシ

そうだね。でも、“相手の立場に立って考える”という根本の姿勢は、カタカナじゃなくても、すべての仕事に通じることだよ。

インコ君

……あ、なんかちょっとカッコイイ…!

オオハシ

やれやれ


ステークホルダーマネジメントについて

インコ君はまたオオハシさんにPMBOKのステークホルダーマネジメントを教えてもらってましたね。このサイトで何度もステークホルダーマネジメントを扱いますが、
それは、それほど、このマネジメントが重要かつ実用的だとサイト管理者が考えているからです。

それでは、
一般的なステークホルダーマネジメントの項目をおさらいしましょう。


ステークホルダーマネジメントの4つのプロセス

PMBOK(第6版)では、ステークホルダーマネジメントに関して次の4つのプロセスが定義されています。

1. ステークホルダーの特定(Identify Stakeholders)

  • プロジェクトに影響を与える、または影響を受ける人々を洗い出す。
  • 利害関係や期待を把握し、記録する。
  • ツール:ステークホルダー登録簿の作成。

2. ステークホルダー・エンゲージメントの計画(Plan Stakeholder Engagement)

  • ステークホルダーの関与方法を計画する。
  • どのような情報を、誰に、どのタイミングで伝えるかを決定。
  • 関係性に応じた戦略的アプローチが必要。

3. ステークホルダー・エンゲージメントのマネジメント(Manage Stakeholder Engagement)

  • 計画に基づき、実際にステークホルダーとコミュニケーションをとる。
  • 懸念への対応、協力の取り付け、関係の維持がカギ。

4. ステークホルダー・エンゲージメントの監視(Monitor Stakeholder Engagement)

  • ステークホルダーとの関与状況を継続的に監視。
  • 必要に応じて計画を調整し、問題を未然に防ぐ。

まとめ

ステークホルダーマネジメントは、単なる「お付き合い」ではなく、プロジェクトを成功に導くための戦略的な活動です。
プロジェクトマネージャーに求められるのは、相手の立場や感情を読み取り、信頼を築きながら最終目標へと導く力になります。
プロジェクトマネージャーに求められるスキルはやることが一杯ですが、
またインコ君と一緒に学んでいきましょう。


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