🟢 導入部
インコ君、まんまと「パーキンソンの法則」にハマっていましたね。
でも、実際の現場でもこういうこと、よくあるのではないでしょうか?
納期に余裕ができると、つい油断して後回し。
そして気づけば「あれ?もう時間がない!」と焦り出す――
あなたにも、そんな経験はありませんか?
ここからは、今回の会話で登場した「パーキンソンの法則」について、改めて詳しく解説していきましょう。
🟡 パーキンソンの法則とは?
◆ 概要
**パーキンソンの法則(Parkinson’s Law)**とは、
1955年にイギリスの政治学者シリル・ノースコート・パーキンソンによって提唱された法則です。
この法則の核心は、次の一文に集約されます:
「仕事は、与えられた時間をすべて使い切るまで膨張する(Work expands to fill the time available for its completion)」
つまり、「1週間のうちに終わらせて」と言われた仕事は、たとえ1日で終わる内容であっても、
7日間いっぱい使って終わるように人は動いてしまう――という人間の心理や組織の非効率性を表した法則なのです。
Wikipediaでも次のように定義されています:
◆ よくある具体例
たとえば、こんな経験はありませんか?
- 夏休みの宿題、「8月31日までにやればいいか」と思っていたら、結局、最終日に泣きながら一気に終わらせることになった。
- 会議のアジェンダが10分で済む内容なのに、30分の時間を確保すると、話が脱線してジャスト30分かかる。
- レポートの締切が1週間後だと、着手するのが6日後になる。
これは、「時間がある」という油断や先延ばし癖が、作業を必要以上に膨らませるという人間の習性によるものです。
◆ ビジネス現場での事例
パーキンソンの法則は、プロジェクトや業務の現場でもしばしば見られます。
たとえば、あるシステム開発の案件で「3ヶ月の開発期間」を取った場合、
本来なら1ヶ月半で開発が終わる設計であっても、「3ヶ月あるなら、今週は設計書だけ」「レビューは来月でいいか」などと進行が遅くなり、
結果的にギリギリの納期に追われる状況になります。
このような事例は、無駄に余裕を見たスケジュール設定が、かえってプロジェクトのリスクを高めることを示しています。
ここまでで、パーキンソンの法則についての解説を終えます。
次は、これにどう立ち向かうべきか――「クリティカルチェーン法」による対策方法を見ていきましょう。
🔵 クリティカルチェーン法とは?
◆ 概要
**クリティカルチェーン法(Critical Chain Project Management, CCPM)**は、
1997年にエリヤフ・ゴールドラット氏が提唱した、納期遵守に強いプロジェクト管理手法です。
伝統的な「クリティカルパス法(CPM)」が“作業の順番(タスクの論理的つながり)”だけを重視するのに対して、
クリティカルチェーン法ではさらに、“人・機材などのリソースの制約”も考慮します。
この手法では以下のような考え方を採用します:
- 各作業に余裕を持たせない(バッファはタスク単位ではなくプロジェクト全体で管理)
- 人・リソースの空き状況をベースに、現実的なスケジュールを構築
- プロジェクト全体の進捗は「クリティカルチェーン(最も時間がかかるリソース連鎖)」に集中
◆ メリット
クリティカルチェーン法を導入することで、以下のような効果が期待できます:
✅ 納期遅延のリスクが減る
→ 無駄な個別バッファを削り、プロジェクト全体で遅延を吸収することで、全体の進捗が安定します。
✅ 現場メンバーの“早く終わらせよう”という意識が高まる
→ 個々のタスクに余裕を持たせないので、早く終えることが推奨され、ダラダラ作業が減ります。
✅ リソースの過負荷を防げる
→ 特定の人・チームにタスクが集中して炎上する、という事態を回避しやすくなります。
✅ プロジェクトマネージャーが“今どこが危ないか”を見極めやすい
→ 進捗監視の焦点が「クリティカルチェーン」と「プロジェクトバッファ」に集中するので、判断が明確になります。
◆ 具体的な運用方法
- タスクの所要時間を“最短で終わる見込み”で見積もる
→ 通常の見積もりより2〜3割短くするのが一般的です。 - タスクの順序関係(依存関係)とリソース割り当てを加味して、スケジュールを構築
→ 誰がどのタスクを担当するかを前提にした現実的な計画になります。 - “クリティカルチェーン(最も時間がかかるリソース経路)”を特定
→ この経路上の遅延がプロジェクト全体の遅延につながるため、要監視ポイントとなります。 - プロジェクトの終端に「プロジェクトバッファ」を設置
→ 全体の遅延を吸収するための余裕。個々のタスクにバッファを持たせず、ここにまとめて管理します。 - 進捗は“クリティカルチェーン上の進み具合とバッファ消費率”でモニタリング
→ 従来の「何%終わったか」ではなく、「バッファがどれだけ減っているか」で判断します。
📝 まとめ
「パーキンソンの法則」でありがちな“時間に対する油断”に対して、
「クリティカルチェーン法」は**“意識の引き締め”と“進捗の見える化”**で対抗するアプローチと言えるでしょう。
プロジェクトの計画段階からこの考え方を取り入れることで、
“余裕を持って始めたはずなのに、最後に火を噴く”という事態を、かなり防げるようになります。



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